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アマノジャクはこう考える

原稿その8

(3)日社学のシンポジウムから
 2008年、滋賀大学にて日本社会科教育学会研究大会が開かれた。1日目の午前中に報告を終えた私は午後から全体会に参加した。メインはシンポジウムであった。「社会科教育」について教育方法、世界史教育、教育実践史の領域から一人ずつ研究者が、現場の代表としてひとりの小学校教師が提言を行った。その現場の教師の代表は鹿児島県のS氏(Y小学校)であった。Sさんはまず自らの実践の足取りをたどった。Sさんは日本生活教育連盟(コア・カリキュラム連盟の後進)、教育科学研究会、歴史教育者協議会を拠点に活躍する鹿児島というよりは全国的に知られた実践家である。Sさんの取り組みは「コア・カリキュラム的」である。子どもの生活実態、地域の実情から課題を設定し、そこから長い時間をかけて調べ活動・発表・討論活動を行うというものである。テーマは「自動車工業」「漁業」「畜産業」などの産業学習に加え、「慰霊碑調べ」では平和を学び、そして最新は「川筋を変える工事で地域の変化を見ていく」という実践であった。その緻密な活動、記録に圧倒されるが、私がそれよりもっと驚くのはSさんがひとつの実践を終えるごとに課題をもち、次の実践に生かしていっているということであった。現在の実践でSさんに特徴的なことは「学びの共有化のために社会科通信を有効に使う」ということである。ひとつの活動が終えると子ども達はそこでの疑問や意見を出し合い、それをSさんが発言を構造化した図を通信に示し、それを子ども達は確認しあって次の活動に進むというものである。「コア・カリキュラム」が「はいまわる経験主義」と批判された歴史があるが、Sさんは「どういう学力を身につけるか」の研究を進め(Sさんは歴教協では「学力と教育課程」分科会の世話人である)、「知識」と「体験」をどのようにして「学力」に結びつけるかを追究し続けているということである。Sさんを現場の代表的な実践家ととらえた日社学の眼はたしかであると考えている。さあ、そこで私たち中学教師が考えないといけないことは何か。もちろん「S実践に学ぶ」ことも大切である。が、それよりも大切なのは「Sさんに教わった小学生に私たち中学教師は何を教えたらよいか」ということではないかと思う。その「高まった学力」に何ができるのか。私は、Sさんと同じ会に出るたびにそれを痛感している。    
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by yksayyys | 2009-02-26 23:03 | 社会 | Comments(0)