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アマノジャクはこう考える

松沢裕作「重野安繹と久米邦武」(山川出版社)を読む

 史学史への興味から購入して読みました。ブックレットですのですぐに読み終わりました。重野も久米も近代史学の創始者的人物です。学生時代教わった教科書的知識で言うと「実証史学を最初に提唱した歴史学者」と言った感じでしょうか。両者とも幕末に生まれているので歴史の大舞台に関わっています。鹿児島と佐賀に生まれ、秀才とくれば関わらざるをえないでしょうね。重野は、薩英戦争の交渉に関わり、西郷同様お庭番として諜報活動に奔走します。久米は、鍋島直正の側近として活躍しますが、何と言ってもあの「岩倉使節団米欧回覧実記」の作者として有名です。二人は、新政府で歴史編纂事業に携わり、「事実に基づく歴史学」の確立に努力しますが、保守派の抵抗にあいどちらも左遷されます。特に久米は「神道は祭天の古俗」の論文で右翼の糾弾にあいます。明治の半ば「欧米化」と「伝統回帰」のふたつの流れの葛藤による犠牲者と言ってもいいと思います。その後、実証史学は「対外アピール」はできるだけ控える形で辻善之助や黒板勝美らにより進められていきます。最近、「歴史学を振り返る」風の本の出版が続いていますが、「はじまり」からおさえていくことはとても重要な事のように思えます。
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by yksayyys | 2012-07-22 12:29 | 社会 | Comments(0)