驚異の大日本帝国

 最近、昭和前期モノや明治モノの本を読むことが多かったが、文章だけでなく図版や写真を興味深く見ることが多かった。そして、思ったことがある。「この国は、あの戦争がなかったらいったいどういう国になっていたのだろうか」ということである。精神的な部分でなく物質的な部分に限るなら、本当に「恐ろしい大国」になっていたのではないかと思う。大学院時代の冬季集中講義に「映画で社会を見つめる」というものがあった。その中で強烈な印象を残したのは、戦前の「東京物語」という映画であった。特に内容は記憶にないが、この映画の画像そのものが私の「常識」を覆した。恥ずかしながら私はカラー映画は戦後の「カルメン故郷に帰る」が最初だと思っていたが、この「東京物語」はカラーであった。よく戦中の戦闘シーンを日米比較しながら、「アメリカの鮮明なカラー映像」と「日本のイナズマの走るモノクロ映像」の差に唖然として「こりゃ、負けるはずだ」と思ったものである。しかし、この「東京物語」をみると映像を含めて映画の中の生活、町並みすべてがとても戦前とは思えない。主役からしてキャリアウーマンである。昭和30年代の映画と勘違いしてしまうほどである。建物も、震災後の著しい復興による最新の高層建築が林立している。もちろん、都市と地方の格差はひどかったと思うが、「ここまで来ていたんだ」という衝撃を受けた。
 小熊英二の「民主と愛国」によると終戦直後の「一億総懺悔」の意味は「戦争をひきおこしたことに対する懺悔」ではなく「負けてしまったことを天皇にわびる」意味での懺悔であったという。そう思えば、精神的に「戦前から連続している」人たちにとって、戦後の繁栄は「大日本帝国の復活」でしかないのかもしれない。韓国との「竹島」問題が報道される今「驚異の大日本帝国」はいよいよ蠢きだしたようである。おー、怖い怖い。
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by yksayyys | 2006-04-21 08:08 | 社会 | Comments(0)

ちょっとすねた感じでこの世を眺めてみると・・・


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