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アマノジャクはこう考える

二谷貞夫さんの警句

 「歴史地理教育」5月号は二谷さんの文章を読めたことで十分な収穫であった。ページ数にしてわずか6ページ。こめられた思いには迫力さえ感じた。まず巻頭の言葉。
「最近、本誌を読んでいると、社会科教育・歴史教育の教師達が教材を研究し元気良く授業しているように思えない。伝えたいことを述べる前に、形式的に繕ってしまっていないのか。本誌は学会誌であるが、同人誌であり、運動誌でもある。気軽に若い人がポンポンとものを言って欲しい。編集子が今の社会科教育に何か言うことはないかというので、こんな書き出しにした。」
 この「社会科教師たちへの警句」は後半さらにヒートアップする。
「元気がなく、その日暮らしで、教室で智恵を発揮して授業はできず、部活・生徒指導・進路指導に振り回されて、管理や評価でてんてこ舞いしているのが日本の教師だ。度量も器量も小さくなって当然の締め付け。ぶつぶつとものは言うが、児童や生徒の信頼を得て、教師集団で授業に取り組むはつらつとした教師や学校の姿が見えない。」
 一番言われたくないもっともな意見である。二谷さんはこの「歴史地理教育」の編集を長いことやっていた。日本社会科教育学会の会長も務め、社会科教師で知らない者はいないとまでは言わないが、知らない人とのつきあいは私はないような気がする。一昨年、鹿児島で全国社会科教育学会(広島大学系統)の大会が開かれた時に私が発表した分科会の司会をされ、終了後は私の指導教官U先生の命により車で桜島を案内させてもらった。車中二谷さんから聞いた話はどれも面白かった。学会、大学、教育運動、社会科・・・どれも第一線を歩いてきた自負にもとづく含蓄のある話であった。こういう立場の人にありがちな傲慢さは微塵も感じなかった。U先生の口癖の「力のある人は穏やかな人だ。」「正しいことをやっていれば偉くなる。」は二谷さんの事だなとわかった。
 文章は先ほどの巻頭から「戦争体験」へと続く。いわゆる東京大空襲で「逃げまどった」話である。そして、戦後の初期社会科の授業を受けた話に続く。私としては、「サイコロでみんなの学用品を巻き上げる」「野球少年で路地裏の三角ベースを楽しんだ」などの逸話も面白かった。初期社会科は「体験重視」「調べ・討議重視」と言われるが、「はいまわる社会科」という批判もあった。「歴史地理教育」を発行している歴史教育者協議会はどちらかというと批判的であったはずだが、重鎮の二谷さんは明確に初期社会科を支持している。記憶に残っているのは「朝鮮戦争の新聞の切り抜き」「鉄道の調べ学習」だという。そして次のように述べる。
「初期社会科を体験した者は、大日本帝国憲法に替わって成立した日本国憲法の理念を、身を以て体現していった。具体的には、人権の理想と平和を大切にする思想を身につけることであったといえよう。人を人として愛すること。あのB29の爆撃とその被災から解放されて、個人の尊厳と平和の尊さを知ったことであった。」
 私はすぐに歴教協県大会の講演に二谷さんを推薦するメールを県の事務局に送った。ぜひ実現してもらいたいものだ。そして、最後の言葉を引用して自らを鼓舞して終わりとしたい。
「このようなことをまとめてみたのは、正念場にある日本国憲法と社会科教育について述べたかったからである。この正念場は、私たち一人一人の生き方を、人として非戦・軍縮と、断固として戦争しない国を創造する闘いである。日々是抵抗ということである。」
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by yksayyys | 2006-04-28 07:30 | 社会 | Comments(0)

ちょっとすねた感じでこの世を眺めてみると・・・
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