郷中教育復活?

 先日、新聞に「郷中教育」復活をめざす取り組みが紹介されていた。島津一族の人をはじめ私の元同僚も熱心に活動している。郷中教育は、薩摩藩の武士の子弟を教育するやりかたで、少人数に組織し年長者が年少者に教えたり、議論を重視するという特色があると言われており、県教育界のお偉いさん達が講演で引用することも多い。しかし、私はある本を読んでからこの郷中教育はクセモノと考えている。その本は「少国民文化」といい、戦前・戦中にかけて教育関係者に向けてつくられた戦意高揚雑誌で名だたる文化人がいかに戦争賛美、戦争協力に舞い上がっていたかが嫌でもわかるシロモノである。その雑誌の1944(昭和19)年5月号に「薩藩の郷中教育」という投稿がある。書いているのは戦後県教育界で重鎮となったN氏でもしかしたらまだ生きているかもしれない。内容は、郷中教育を賛美し、当時の時局にまさにピッタリのものであると言っている。以下引用する。

「郷中教育の目的とする所は武士道の修養と強兵への錬成であった。米英の物量を恃む重圧をはねのけて現在の難局を打開し、大東亜戦争を完遂するために青少年学徒に要請されて居る事は同じく強兵への道である。時代は降り社会組織は異なるであろうが、明治維新において輝かしい成果をあげた郷中教育から我々は如何なる点を採用すべきであろうか。」
「先日、郷里鹿児島の友人からの手紙によれば、鹿児島に於いては真剣に郷中教育に注目が向けられ、如何にして郷中の精神を現在の時局に即応させるかについて真剣な研究が始められているという。私は、郷中教育のよき伝統を全日本の学校青少年団の組織に復活し活用させる時期は現在であり、それが又我々の重要な課題である事を痛感するのである。」

 現在「郷中教育」を推進している人たちにぜひ読んでほしい文章である。したがって、私は「郷中教育」によい印象を持っていない。理由はこの文章だけではない。例えば「年長者が威張っている」「説教が多い」「同調圧力が強い」などの鹿児島県人の特徴がここらにあるような気がしてならないからである。そして、その気風が学校の部活動、スポーツ少年団、自治会などに濃厚に残っている気がする。県出身者である和田勉や岡留安則が「鹿児島の気風は合わない」と言っている意味はよくわかる。「議を言うな(議論を尽くして決めた事に異議を唱えるなという意味らしいが実際は理屈を言うなという意味で使用されている)」は「多事争論」の対極にある。
 私は、大学を卒業する時に友人達に「鹿児島を変える」と宣言して教師になった。が、今のところ、「ドンキホーテ状態」である。相手にもされていないような・・・
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Commented at 2006-05-04 19:01 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by shin-pukupuku at 2006-05-05 05:42
郷中教育を絶賛する人たちは鹿児島県では相変わらず多いですね。戦時中の記事を読むとその問題点がよくわかりますね。参考になりました。こういう記事を,新聞社は掲載してほしいなあ。
Commented at 2006-05-05 06:05 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
by yksayyys | 2006-05-04 08:50 | 社会 | Comments(3)

ちょっとすねた感じでこの世を眺めてみると・・・


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