ハンセン病問題啓発への違和感

 こないだの人権担当者会の「ハンセン病問題の啓発のありかた」をめぐる違和感について書いておきたいと思います。まず違和感の第一は「差別の理由を強制隔離政策よりもその容貌に主たる原因を置いている」ということです。そして第二はハンセン病問題を「昔いじめられた人はいじめた事を忘れない」風の子どもどうしの人間関係に単純に置き換えて伝えようとしていることでした。ハンセン病問題啓発で最も重要な「強制隔離政策のもたらした差別」という部分がすっかり抜け落ちているのです。私はその理由は資料やビデオがすべて国立ハンセン病資料館から来ていることにあると感じました。数年前、この資料館の展示をめぐってかなり議論になったのを覚えている人もいると思います。やはりこの資料館は国立なのです。国の立場が表れているのです。具体的に言うと、熊本訴訟における争点「差別の理由は強制隔離政策にあった」が弱められて「容貌のくずれが差別の理由」という国の主張が前面に出てきているのです。あと、国全体の人権教育の進め方の影響もあると思います。私は、現在の人権教育の施策については基本的には支持しています。が、ひとつひとつの人権問題にはそれぞれの歴史・背景があるということが忘れられ、「嫌がることは言ってはいけません。仲良くしましょう。」というような融和主義的な方向に来ているのではないかと危惧しています。そこを「社会」という視点から指摘していくのが私たちの仕事なのだろうと思います。
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by yksayyys | 2014-07-03 19:56 | 社会 | Comments(0)