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アマノジャクはこう考える

坂本義和亡くなる

 先日亡くなったというニュースが流れました。岩波の「世界」(定期)購読歴32年の私にとっては感慨深いものがあります。巻頭論文を最も多く書いた学者ではないでしょうか。現在の藤原帰一につながる東京大学国際政治学の流れを作った「理想主義的国際政治学者」だと思います。京都大学が高坂政堯から中西輝政に連なる「リアリズム政治学」を標榜したのと対照的な系譜だと感じています。それを意識してか逆に各紙は「実はきわめて現実主義志向であった」と強調しているように思えました。朝日の藤原帰一の文章はまさにそういうものでした。しかし、若いころの私たちの心をとらえたのはまさに坂本の「理想主義的思考」でした。坂本は冷戦期の国際政治学を生きた学者でした。したがって、「軍縮の政治学」といった著書を通して「米ソ冷戦のさなかにいかに平和を実現していくか」に苦心していた学者だろうと思います。「リアリズム」を掲げる岡崎正彦(「戦略的思考とは何か」)などは堂々と「アングロサクソンについていけば間違いない」と言っていた時代に坂本は私たちのような「青臭い」若者の気持ちをとらえていたと思います。私が20代のころ、憲法と現実の乖離を埋めようとするかのごとく「世界」が「安全保障基本法」の制定を提案したことがありました。坂本がその中心にいたと思います。私はその時「それが軍拡傾向への歯止めになれば」と思いました。そして、そのことを当時の組合の情宣部長をしていたKさん(元委員長)にしたことがあります。ところがKさんは「あの人たちはそれを主張していたことを後悔しているようだよ。」と教えてくれました。きっと、その「一穴」を設けることが「堰を切る」ことにつながる危険性を示したものだと考えました。
 丸山眞男は「現実主義者の陥穽」という論文で現実主義・リアリズムという言葉の持つ「危うさ」を指摘しました。その指摘は今も的確だと感じています。
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by yksayyys | 2014-10-12 11:45 | 社会 | Comments(0)