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アマノジャクはこう考える

移民受け入れ

 2年生の学年末テストに時事問題の論述を出しました。「外国から移民を受け入れるかどうか」について賛成意見、反対意見それぞれを読んで自分の意見をまとめるというものです。賛成意見は「人道的見地からと少子高齢化による労働力不足を補うために門戸を広げるべき」というもので反対意見は「治安の悪化につながりテロリストの流入につながるから危険」というものでした。生徒の意見は3対7くらいの割合で反対が多いようでした。まだフランスのパリにおける銃撃事件が記憶に新しいせいかもしれません。もちろん、評価は文章そのものをみますので「論理的であるか」「資料を活用しているか」といった点が重要視されます。ただ、答案用紙にぎっしり詰め込まれた文章には生徒たちの微妙なニュアンスの違いや苦悩の跡が見られて興味深いものがありました。社会科教育学の研究者の中には「大人がわからないものを子どもに議論させるな」という人もいます。が、問題は資料の与え方、提示の仕方や分量といったもので、考えているレベル、結論は大人のものとそう変わらないような気がします。ということは、子どもたちに考えさせる意味は大いにあるのではないでしょうか。この問題、もう少し突っ込んで扱ってみようと思います。
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Commented by ぽんジュース at 2016-02-20 15:08 x
前にふと思い立って授業開発研究として「環境難民」のことを考えてみたことがあります。

高校の地理は学生たちに聞くととても履修者が少なく、どんな風に授業をつくったらよいかイメージがわかないという意見を聞いたからです。

これから高校教師を目指している学生でも確かに高校で地理を履修していなければ知識レベルでは中学生と変わらないことになります。

社会科教育学ではよく「社会科地理」か「地理科地理」かということを議論しますが世界的に見るとかなり特殊な議論になっている感じもあります。

韓国来てみてそもそも初等教員養成と中等教員養成は教育大学と師範大学で別れていますし、師範大学でも歴史教育科、地理教育科、社会教育科、倫理教育科に別れています。中学校の教科書も「歴史」と「社会」で、「社会」は地理的分野と公民的分野で構成されています。こうなると「社会科」とはなにか考えさせられます。次期学習指導要領以降どこまで「社会科」が続くのか気になるところですが、現場でも原理的に教科を問い直す時期に来ているのかもしれません。

新年度からは地理学の先生たちといっしょに付属高校との授業にも取り組んでみる予定です。
Commented by yksayyys at 2016-02-20 15:45
韓国の中学教科書が「歴史」と「社会」に分かれているとは知りませんでした。たしかに、私の身の回りでも「社会科歴史」の考えと「歴史家歴史」の考えがあって、特に討論のありかたをめぐって意見が対立することがあります。史学科出身の私としては「歴史そのものの面白さ楽しさ」は確かにあり、歴史の事実そのものをきちんと学びそれを教訓とすべきという考えにも一理あると思います。しかし、教員になってからは、社会科という枠組みの中で歴史をどう扱っていけば良いかを考えることに大きな意義があると感じています。個人的には「これだ」と言えない自分を感じています。
 そういえば、いろいろな研究会の分類で「現状認識」「歴史認識」に分かれることがありますが、その上に「社会科」という冠をつけた時に「すんなり馴染むのか」という問題なんでしょうね。
 高校で地理を取りましたが(理系だったので地理は必修でした)、私の教わったのは完全に自然地理で中学で習った地誌学とは完全に違うものでした。今はどうなっているのでしょうね。そう考えていくと「地歴科」なんて領域が成り立つものかどうか・・・・
 そこのすきまをぬって「社会科解体」が行われるのでしょうか・・・
Commented by ぽんジュース at 2016-02-20 16:13 x
教育学部出身者と専門学部出身者でもかなり教科観はちがいますよね。そういうことをテーマにした研究も最近は進んでいるようです。

韓国は歴史教科書の国定化をめぐっての対立が時事問題となっていますが、そのなかで教育課程と教科書の歴史についての本を読んでみました。

韓国では、2000年前後の第七次教育課程ごろから中学校の歴史が独立科目になっていくのですが、日本のような日本史と世界史をあわせたような「歴史」の教科書になったのはまだ最近のことで、それ以前は、「国史」(韓国史)と「世界史」(社会科の一分野)になっていたようです。

こうなると日本風に言うと、「国史科韓国史」と「社会科世界史」ですが、イメージしにくいですね。「歴史」とは何を学ぶ教科なのか考えさせられます。

国定化にはいまの大統領の父親の時代の政治も絡んでいるので極めて政治的ですが、社会科としての歴史教育をどこまで中学校現場で共有できているかも気になるところです。
Commented by yksayyys at 2016-02-20 16:24
 なるほど知れば知るほど「歴史」とは何を学ぶ教科なのかと考えさせられますね。
 前から思っていることですが・・・
地理教育学会と公民教育学会はあるのに歴史教育学会はなぜないのか・・・・・
歴史教育者協議会はなぜ地理、公民などすべての領域をカバーしているのに「歴史」の名称にこだわるか・・・
 こういうのも社会科と歴史科の関係に由来するものなんでしょうかね!どうってことない理由かもしれませんが(笑)
 
Commented by ぽんジュース at 2016-02-20 17:14 x
日本に歴史教育学会がないのは、戦前からの歴史教育の連続と断絶の問題があり、研究として非常に興味深いところです。

ただ、最近は高大連携の動きが活発化しており、今後はどうなるか気になるところです。

韓国の歴史教育研究会の学術雑誌『歴史教育』がいまの研究対象ですがそのなかに李元淳先生が、韓国の歴史教育研究会を作ったときの議論を次のようにのべています。

「私たちの研究組織の対外名称を「歴史教育学会」にするのかという意見と「歴史教育研究会」にするのかをめぐって何度も議論がありました。学術の集会や学会としてというのが正しいという意見が強くありました。しかし、一方で、歴史教育研究だけをする学術の集会ではなく、教育現場での実践の問題まで取り扱わなければならない研究があらねばならず、それだからこそ、研究会に力を尽くすのがふさわしいという論争もありました。結局、私たちは、まだ若い自律的な研究組織である「歴史教育研究会」にするのがよいということになりました。」
李元淳「歴史教育研究会50年を回顧して(1)」歴史教育研究会『歴史教育』、第97号、2006年、6頁。

興味深いですね。先達の慧眼です。
Commented by yksayyys at 2016-02-20 17:34
なるほど確かに興味深いですね。
歴史教育者協議会が社会科の総合的な研究会であるのに歴史の名称に固執するのはおそらく発足の時に歴史学研究会、日本史研究会、歴史科学協議会などとともに「歴史四団体」として扱われた経過があるのだろうと思います。「こだわり」というやつですね。しかし、実際には「運動」としての連携はあっても「研究」としての連携は乏しいような気がします。新しい岩波講座日本歴史にも歴史教育に関する巻はついに設けられませんでした。「学」と「教育」との距離はかえって大きくなっているのではないでしょうか。そういう意味で、高大連携の動きがどのように展開していくのかに興味があります。
 昔は、遠山茂樹や和歌森太郎の時代から歴史学者が歴史教育に口を出すのはきわめて当然のことだったはずですし、現場教師が「講座」を手に学習するのもまた当然のことであったはずです。「タコツボ」化の弊害はなくすべきでしょうね。
 それにしても、ぽんジュースさん、充実した研究生活を送っているみたいですね。
Commented by ぽんジュース at 2016-02-20 19:12 x
よく,「何をしにいっているの」と聞かれるのですが,遊びに来ているわけではありません(笑)

韓国では,戦前から続く震檀学会という歴史学会があり,戦後,「くにのあゆみ」のような歴史教科書をつくるのですが,学会自体が戦前からあったので植民地史観を克服する必要があるとして,新たな歴史学会がつくられました。それが,韓国の歴史学会や歴史教育研究会です。

その後,韓国の民主化の流れにともなって,日本の歴史教育者協議会とも交流のある全国歴史教師の会が設立されました。

しかし,近年,より学究的な指向のある歴史教師たちを中心に韓国で「歴史教育学会」が設立され,『歴史教育研究』という学術誌を発行しています。

日本では,1980年代に「歴史教育学」の確立が指向され,加藤章らの『講座歴史教育』や平田嘉三らの『歴史教育学事典』などが刊行されましたが「学会」が設立されるまでには至りませんでした。戦前から刊行され,復刊した日本の歴史教育研究会の『歴史教育』もこの前後に廃刊となっています。ただ,こうした1980年代の歴史教育研究は同時代の韓国の論文によく引用されており,興味深いところです。

こうした視点から日韓比較歴史教育史研究をしてみると面白いと,昨年12月号の明治図書の『社会科教育』に研究室紹介で書いてみたのですがいかがでしょうか。

また,ご意見ください。
by yksayyys | 2016-02-20 14:35 | 社会 | Comments(7)

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