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アマノジャクはこう考える

Iさんの言葉から

 たった1日だけでしたが、10月終わりに韓国人研究者のIさんと過ごした時間で実に多くの事を教わったような気がします。特に今回はIさんから多くの重要な知識や示唆を与えてもらった気がします。それはIさんの研究者としての着実な歩みから来るものと持って生まれたセンスのようなものだろうと思います。それに較べて私は・・・・恥ずかしい限りです。
 以下、いくつか順不同にて・・・
①「法より政治」
 Iさんは、日本社会が最近いろいろな課題を裁判という形で決着しようとしていることに危惧の念を感じているようでした。私は、「法治国家、法の支配の帰結として当然でもあるのでは!」と言いましたが、Iさんは「それでは、判決がすべてを裁いてしまう。もう少し政治的な動きも必要である」と言いました。司法への信頼性の違いもあるのでしょうが、韓国では今回の朴大統領批判に限らず、「表に出てデモをする。抗議する。」ことがはるかに重要であると言います。民意を示し、それを政治的な力として解決の道筋を探す。ということです。システマティックではなくプラグマティックに物事の解決を図るということでしょうか。民主主義を動的な「永久革命」(丸山真男)ととらえ、言葉の「お守り的使用」(鶴見俊輔)から脱するために重要な指摘だと思いました。
②「陶工だけじゃない」
 豊臣秀吉の朝鮮侵略により連れて来られた朝鮮人たちを私たちは一般的に「朝鮮人陶工」へとつなげることにより教えてきたような気がします。しかしIさんは言いました。「多くの朝鮮人たちがスペイン・ポルトガルに人身売買されて連れていかれたのです。」と!そういう事を私は全くつかんでいませんでした。地球の裏側にまで連れていかれた朝鮮人たち。自らの無知にあきれてしまいました。
③「上海の偉容」
 上海の租界の豪華さについてIさんと話題になりました。Iさんは言いました。「イギリスもフランスも本国にもない豪華な建築物で中国を圧倒しようとしたのです。」と・・・
 この事は、日本の満州におけるやりかたにも通じるものでした。新京の豪華さ、満州鉄道の「アジア号」の壮麗さ、それはすべて本国のものを上回るものでした。そうすることで、満州や中国の民の心を圧倒しようとしたのだろうと思います。そう言われれば、イギリスに対するインドのムンバイや中国の香港、オーストリアに対するハンガリー、そういう光景は数多くあるような気がします。
(続くZ)
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Commented by shin-pukupuku at 2016-11-08 10:18
システマティックかプラグマティズムかという議論は、市民性をどのように育成していくべきなのかという問いに根源的につながっていくと思います。私は両者は対立項ではなく、共存できるテーマだと考えます。私たちが研究してきた判決書は、システマティックに社会に順応させる側面が強いと思います。だから、法そのものを変えていくプラグマティズムという動きは欠かざるべきものなのでしょう。しかし、従軍慰安婦の判決書や水俣病の判決書など、私たちはこのシステムが示す内容そのものを学んでいない部分も多いのではないでしょうか。システマティックな考察は、プラグティズムへ思考を深化させる基盤になるものだと私は思います。だから私たちは、法教育ではなく、市民性教育や人権教育に注目しているのだと感じています。
Commented by 闘龍灘 at 2016-11-10 04:55 x
おはようございます。
ようやく9月末からの学会発表4連発が終わりました。

こちらに赴任して授業もはじまったので火の車でしたがようやく荷物の開封の続きができそうです。といっても韓国への投稿論文の締め切りが15日ですが・・。

ソウル大にいたとき、韓国の歴史学・歴史教育の学会が韓国の歴史教科書の国定化に反対の声明を出しました。そのとき、様々な団体がソウル大の周りを囲んで学会を運営していた院生や助教の人たちがとても苦労していました。

学会会場に団体が乗り込んできて主張するというのは日本ではなかなか見られないですかね。

また、ソウルの慰安婦像の前で焼身自殺を図るという事件もありましたが、ちょうどいきつけの参鶏湯屋の近くで起こり、騒然としていました。いまは、大統領問題で大変な時期かもしれません。

日本の人たちも決して政治と無関係とはいえませんが、東アジアの先生たちと共同研究をしているとそうした問題のむつかしさを感じざるを得ません。

だからこそ共同研究が必要なのだと学会でちょっとカッコつけてみたのですがどうだったのでしょうか。

まあ、とりあえず地道に頑張りたいと思います。
Commented by yksayyys at 2016-11-10 06:23
プクプクさん、闘竜灘さんコメントありがとうございます。Iさんの話の中に「韓国軍の中には今でも国内の左翼一掃のクーデター計画の噂がある」というものがありました。これは、光州事件に代表されるような韓国の凄惨な民主化の歴史があり、支配層の「正当性」への疑念が常につきまとっている気がしました。だからこそ、「具体的行動を」「デモだ!」となるのだろうと思いました。システマティックとプラグマティックの融合、共同研究の重要性その通りだと思います。
 その隙間をぬって各国に胚胎している「かくれトランプ」が跋扈しないように注視しないといけないような気がします。
 「民主主義」とか「市民性」とか社会科の屋台骨が問われる事態となっているような・・・・
by yksayyys | 2016-11-05 19:34 | 社会 | Comments(3)

ちょっとすねた感じでこの世を眺めてみると・・・