女王、謝罪せず!

 夕方、帰宅途中ラジオのニュースを聞いていたらイギリスのエリザベス女王がアメリカ歴訪中に「奴隷貿易」について謝罪するかどうか注目されていたが、ついに謝罪しなかったことが報じられていた。ちょうど「大英帝国という経験」を読んだ直後だけに興味深く聴くことができた。「奴隷貿易」はアメリカよりもイギリスの方がずっと先輩である。まあアメリカはイギリスの植民地だったわけだから当然といえば当然である。が、アメリカが1863年リンカーンによって奴隷解放を成し遂げる半世紀前にイギリスが先に「奴隷貿易廃止」を行ったことはあまり知られていない。それゆえか、「奴隷貿易」についてはそれ以後イギリスは「解放する側」にいたとされる。ところが、そうだからと言ってそれ以前の事が不問に付されるとは考えにくい。実は、10年前にイギリスのブリストルという港町で地元の偉人の銅像に落書きがされるという事件が起きたという。その人物は、確かに慈善事業家で「博愛主義者」として知られていた。しかし、その人物は同時に「奴隷貿易」で巨万の富を得ていたことがその落書きで明らかになったらしい。その後、この町はこの「恥ずかしい過去」に目を向け「大英帝国の負の遺産」を展示する博物館を建設しその事実を後世に伝えることにしたという。その流れは、のちにその貿易を受け継いだビートルズの町リバプールにも伝わり、奴隷貿易を検証する建造物が建てられたのである。「他の国はもっと長く植民地支配を行ったのになぜ日本ばかりが謝罪しないといけないのか」と右派の言論人が声高に言うことがある。が、イギリスもその過去にむきあわざるをえないのである。そういう意味で今回の女王のアメリカ訪問が注目を浴びたのである。簡単に謝罪しないことにどういう「政治的意図」があるのか気になるが、「ひどいことをすれば恨まれる」のは世の当然の倣いであろう。「大英帝国という経験」という本は実に勉強になった。
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Commented by ska37o at 2007-05-08 14:54
 イギリスという国はおもしろいですね。一度はたずねてみたいなと思いました。
 相変わらずの読書量には感心しています。
by yksayyys | 2007-05-07 21:29 | 社会 | Comments(1)

ちょっとすねた感じでこの世を眺めてみると・・・


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