アマノジャクはこう考える

スキー&スノーボード2004-2005

浄土教と浄土宗の違い

 プクプクさんのブログにあった質問に対して書いてみました。コメントに書くと長くなりそうでしたし、自分でも再確認したかったのでこちらに書いてみます。

 山川の日本史辞典によればプクプクさんの解釈でいいようです。「もうすこし詳しく」となると講談社から出た山本幸司「日本の歴史第9巻 頼朝の天下草創」が参考になりました。いくつかに区切って説明します。

(1)浄土教は「末法思想」とつながっているが、我が国では、平安期に起こった戦乱・天災・疫  病などを理由に「現実味」を帯び、源信の「往生要集」によって広く知られることとなった。
(2)釈迦が生きていた時代から遠ざかれば遠ざかるほど解脱が困難と言われていた。が、その 場合に仏法自体は変わらないのに、解脱が困難になるとすれば、問題なのは仏法を受け入  れる人間の側の変化なので、そうした人間の変化に応じて教えが説かれなければならないと 考えられた。浄土教がいろいろな宗派に分かれていくのはそのためである。
(3)末法に入った時の救済方法として、「寺を建てる」「法会を催す」「寄付をする」「教典を書写 する」などの救済方法の効力に一定の効果を認めるのが平安期の「旧仏教」であり、これまで の救済方法は効力を失い新たな手段が必要だとするのが鎌倉期の「新仏教」である。

 ということで「旧仏教」では財力のある貴族らに救済の方法が多くあるという結論につながり、厳しい修行の必要性が説かれることになる。

(4)「新仏教」の特徴を筆者は次の4つと考えている。
① 国家ないし共同体の祭祀ではなく個人の救済のための宗教であり、信徒の多くは旧仏教に 比べると社会的に下層に属し、また地域的にも京機内より地方で優勢であった。
② 来世志向のように見えるが、来世の保証によって結果として現世の活動に専念させる効果 を持つ点では、むしろ現世的である。
③ 「阿弥陀仏の名を唱えるだけ」という修行方法の簡略化が行われた結果、「寺を建てる」「法 会を催す」「寄付をする」「教典を書写する」などの負担を免れるため、一般庶民が入信でき  る。
④ 臨済宗などの一部を除いては、政治的有力者の庇護に依存せず、したがってまた旧仏教  のように荘園領有によって寺院経営と僧侶の生活をまかなうことなく、信者層の喜捨によて生 活を維持した。

(5)法然は、「念仏だけが救済手段」と説いた。そして、他宗に対する自宗の絶対化、他宗排撃 の論理が生まれる。「新仏教」特有の「原理的に不寛容な宗教」つまり「浄土宗」の成立とな  る。
(6)法然の教えは社会的にもっとも底辺に位する人々を救済に近づける方法をとったので、救 済という点に関しては庶民も武士も貴族も、同一線上に立たされたということになる。
(7)これを親鸞がさらに徹底して「民衆宗教」を作りあげた。

結論から言うと
 平安期の浄土教・・・・努力して心に阿弥陀仏と極楽浄土のありさまを思い浮かべる観想念仏
              であり、修行を積んだ僧や貴族には可能でも、すべての人に開かれた
              途ではない。
 法然以後の浄土宗諸派・・・・・念仏を唱えることによって阿弥陀が極楽浄土に迎えてくれると               したことによってすべての人に開かれた途となった。が、逆に他仏教勢               力とぶつかることにつながり、それが宗教集団として固定し「宗派」成立               を強く促す結果となった。

 言語の解釈としては、「平安期に、浄土教というよりは、浄土思想というものが流行し、それが 宗派として確立したのが浄土宗」ということでしょう。ともに「戦乱期」であったので、流行の基  盤は共通していたことになります。

ということで、長くなりましたが、プクプクさんの言う通りです。
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by yksayyys | 2007-12-17 01:52 | 社会 | Comments(1)
Commented by ぷくぷく at 2007-12-17 21:28 x
 解説ありがとうございました。よくわかりました。私もきょう日本史事典で調べましたが,それ以上に多くのことがわかりました。
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ちょっとすねた感じでこの世を眺めてみると・・・
by yksayyys
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