カテゴリ:読書( 447 )

現代思想「丸山真男生誕100年」(青土社)を読む

 ひとつのテーマに向かった読書・文献購読を続けているとさすがに疲れるものです。ということで、気分転換に3年前に買ったこの雑誌を読みました。ただ、気分転換という程気楽に読めるものではありません。思想雑誌ですので、哲学・倫理関係の執筆者が多くなかなか頭を使います。出だしの二人、長谷川宏、最首悟は有名ですね。どちらも学園紛争時代に東大にいて丸山とは対峙した側の人物です。だから、文章に「トゲ」があって面白いですね。次は、杉田敦のインタビュー。丸山の流れを組む政治学者だろうと思います。次が川本隆史と苅部直の対談。ロールズの専門家と丸山の評伝を岩波新書で書いた両人による対談です。「正義」を真ん中においた議論でした。第二章は丸山の「本店」と言われる日本政治思想史に関するいわゆる論考が並びます。「ナショナリズム論」「儒教論」「天皇論」と続きました。私が、丸山を好きな理由は、研究対象との距離、その思惟方法だろうと思います。本人は相当な「おしゃべり」と聞いていますが、研究スタイルはきっと違うのだろうと思います。あと、この人のお弟子さんたちが好きですね。藤田省三、松下圭一、神島二郎、石田雄・・・師匠との「ズレ」がとても興味深いです。「えらい研究者はえらい弟子を生む」そういう事だろうと思います。いろいろ師弟の葛藤はあったようですけど。研究者の世界というのはそういうもののようですが・・・
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by yksayyys | 2017-08-20 12:18 | 読書 | Comments(0)

西村京太郎「15歳の戦争 陸軍幼年学校最後の生徒」(集英社新書)を読む

 論文書きにいちおうの目途がついたので、先日購入したこの本を読んでいます。トラベルミステリーで有名な著者がはじめて自身の戦争体験・戦後体験について書いています。小説家だけに文章が上手いし、視点が面白いですね。陸軍幼年学校での生活など微に入り細に入り、生徒でしかわからない話がいっぱい詰まっていました。このように、これまで語ってこなかった人たちが今戦争を語り出したのは、やはり今が戦争の危機にあるからだと思います。内に安倍政権、外に北朝鮮、トランプ大統領と戦争の危機につながる要素がこれほどある時代は戦後なかったはずです。それゆえの「叫び」なのではないでしょうか。それを、声高でなく「事実を淡々と、ユーモアたっぷりに描く」ところにこの本の面白さ・意義がある。ちょっと、ゆっくりとしたい、でもまじめに今を考えたい、そんな時にオススメの本です。
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by yksayyys | 2017-08-15 13:19 | 読書 | Comments(0)

千葉雅也「勉強の哲学ー来たるべきバカのためにー」(文藝春秋)を読む

 売れてる本のようです。「どうして勉強しないといけないのか」なんて今さら説教されたくないや!と思っていましたが、ちょっと手にとって斜め読みしたところ、「確かにそういう事はある」!と思うところがあり、そのまま購入して読みました。勉強すると「浮く」「ずれる」そして「バカになる」。簡単に言うとそういう事ですが、著者はそれを積極的にとらえ「自分を変えること」だと言います。研究者と呼ばれる人たちと接していると時々そう思うことがありました。それは「研究への自信」と「世間とのずれ」だと思っていましたが、それをメカニズムとして説明してくれている気がしました。私もちょっとだけそういうところがあります。会話に「アイロニー(皮肉)」と「ユーモア(冗談)」を入れたがるんですよね。結果として「浮く」ことも多いですし「KY(空気を読めない)」(私のイニシャルではありません)と言われることがあります。それを今まで自分の血液型(B型)のせいにしてきましたが、この本を読むと「なるほど」と思うところが多々ありました。 
 別に自分を「勉強している人間」に分類しようとは思いませんが、これから「浮いたり」「ずれたり」した時はあまり気にせず「このままバカになってやろう」と開き直れる気がしました。私の友人にもそういう人たちが多いですがどうやら血液型のせい(だけ)ではないようです。

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by yksayyys | 2017-07-24 06:00 | 読書 | Comments(0)

上原善弘「路地の子」(新潮文庫)の衝撃

 この本、読み始めは「食肉業界」の描写のリアルさに感銘を受けていたのですが、読み進めるごとに「重苦しい」気持ちに包まれていきました。著者の父親を中心とする家族の物語なんですよね。差別を正面として扱うのであれば、そういう社会問題の視点から掘り下げていくのでしょうが、この本は今風で言うと「ライフストーリー」と言えます。ところがその「ライフストーリー」があまりに過酷で衝撃的すぎるのです。この過酷さと衝撃を「差別」問題に結びつける読者はあまりいないのではないかと思いました。私は「差別」に結びついていると思いましたがあまりにも強烈な個性と事件に満ち溢れたこの著書はあまりにも「劇的」すぎてノンフィクションとは言えない気がしました。そして、同和利権告発の経過を見た時に「新潮社らしい」とも思いました。 
 私は、この本の著者を心配しています。ここまで赤裸々に家族を中心とする周囲の人々を描いて大丈夫なのでしょうか。私にはこの著者のこの執筆の動機は「狂気」に近いとも思えました。きわめて私小説に近いこのノンフィクション!救われる者は誰かいるのでしょうか。

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by yksayyys | 2017-06-25 20:54 | 読書 | Comments(0)

上原善弘「路地の子」(新潮社)の迫力

 昨日届いたこの本を早速読み始めました。冒頭の文章がすごいですね。屠場の描写なのですが、実にリアルで迫力があります。以前、岩波新書「屠場」を読んだ時も衝撃を受けた覚えがありますが、今回はそれ以上と言えます。私の中学生時代、通学途中に屠場(当時は屠殺場と呼んでいた)があり、家畜の「悲鳴」が聞こえていましたが、このような場面があったんですね。この本は、被差別の立場にある者たちを描いたものです。著者はずっと被差別部落を描いてきましたが、今回「被差別を書くのは最後」と言っています。それだけに、これまで以上にリアルで迫力ある描写となっているのでしょう。一緒に購入した3冊の本を読むのも楽しみです。
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by yksayyys | 2017-06-21 06:33 | 読書 | Comments(0)

上原善弘という人

 今日、アマゾンで上原善弘の本を4冊注文しました。この人の本は面白いですよね。「差別と教育と私」「発掘狂騒史」など興味深く読ませてもらいました。今度「路地の子」という本が出ます。自伝モノで被差別部落を扱った内容の集大成と言える本のようです。ついでに、と言っては失礼ですが、それ以外に3冊の本も注文しました。魂のこもった4冊の著書。魂をこめて読もうと思います。

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by yksayyys | 2017-06-18 23:01 | 読書 | Comments(0)

ヒトラーの裁判官

 今日の朝日新聞の朝刊の読書欄にヘルムート・オルトナー著「ヒトラーの裁判官フライスラー」(白水社)の書評が載っていた。悪名高きヒトラーの人民法廷の裁判官である。私はすぐに映画「白バラは死なず」を思い出した。ナチス批判のビラを撒いた学生に対し、元共産党員の裁判官は弁護士もいない法廷でひたすら学生を糾弾する。そして、「万死に値する」と死刑を求刑し、残酷な方法で処刑する。映画の中の裁判官は元共産党員であったという過去を覆い隠すために逆に徹底的にヒトラー擁護の先頭に立つ。この書評を読むと、この人民裁判の裁判官たちの多くは戦後「ナチスの法に従っただけ」と罪を許され復職も許されたという。当人たちは自分たちも「ナチスの犠牲者」とみなし「後悔の念」もないという。書評にもあるように「どこの国にもどの時代にもある無責任体質」である。著者は何度も周囲に「今さらナチスの過去について書く必要があるのか」と問われたという。「歴史健忘症」はドイツだけではない。この国ではもっと深刻な形で進行している。
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by yksayyys | 2017-05-21 08:08 | 読書 | Comments(0)

娘がアドラー

 相変わらず対人関係が築けず泣いてばかりいる娘ですが、このごろ珍しく本を読んでいるので表紙を見たところアドラーの「嫌われる勇気」でした。たしかに娘にはいい本だなと思いました。以前も勧めようとしたことがありますが、最近特に「親の押しつけ」を嫌うので言うに言えないでいました。娘に「どうしたの、アドラーなんか読んじゃって」と聞くと、「先輩に勧められた」ということでした。おそらく、娘の日常生活を見た部活動の先輩が親切心で勧めたのだろうと思います。ジャニーズの雑誌以外何も読まない娘ですが、この本だけはずっと読んでいます。ただし、「難しい」そうです。そうでしょうね。中高生にはちょっと・・・かもしれません。でも、何か「ふっきれる」きっかけになってくれることを切に望んでいます。

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by yksayyys | 2017-03-31 20:37 | 読書 | Comments(0)

原田國男「裁判の非情と人情」(岩波新書)を読んで

 岩波新書の最新刊です。裁判官の「人間味あふれる日常」を裁判官本人が書いたものです。本の帯に山田洋次監督の「こんな裁判官がいる限りこの国の法曹界を信じたい」という言葉がありますが、まさにそう思わせる内容だと思います。この著者は藤沢周平と池波正太郎を愛読するだけあって庶民の哀感を大切にしていることがわかります。それが、裁判官の職務に結びついているところが何だかホッとするところです。法学者のUn先生が、口癖のように「最後は人だ」と言っていましたが、それを証明する本だと思います。まあ、そういう理屈をぬきにしても、裁判官の日常を知ることができるとてもわかりやすいユーモアあふれる内容です。岩波新書もずいぶん柔らかくなったなと思いました。
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by yksayyys | 2017-03-20 20:41 | 読書 | Comments(0)

村上春樹「騎士団長殺し」(新潮社)を読む

 発売日にネット予約し、先週の月曜日の夜から「寝る前の読書」で読み進めています。私も初版100万部に協力していることになります。睡魔に襲われながらの読書なのでなかなか進みませんが、今第1巻の終わりあたりまできました。「今度のはあまり面白くないなあ」と思っていましたが、途中からだんだん面白くなってきました。そういう構成になっているのでしょう。個人的には、初期のシンプルな作品が好きでしたが、この頃は最近のものもそれなりに面白いと思えるようになりました。 
 「困ったな」と思うのは、息子が読んでいることです。「蜜蜂と遠雷」も私よりもずっと早く読み終わった息子ですが、今度もこっそり持ち出して私より早いペースで読み進めているようです。中1が読むには「ちょっと」という箇所がずいぶんあるのですが、読み始めたものはしょうがないかな!と放っておいていますが・・・・

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by yksayyys | 2017-03-05 10:56 | 読書 | Comments(2)

ちょっとすねた感じでこの世を眺めてみると・・・


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