中島義道「差別感情の哲学」(講談社学術文庫)を読む

 中島義道という人の本を90年代あたりから読み始めたように思う。「私の嫌いな言葉」みたいな刺激的なタイトルに惹かれたせいもあるが「思い切ったことを言う人だな」と思ったのがきっかけであった。大学院に行っている頃、恩師のUm先生も読んでいた。だからUm先生の言葉にそれらしい匂いを感じる事があった。職員会議における発言について話題になった時Um先生はひとこと「それは黙っているという自分が許せないというだけだ。」と言われた。その時「確かにそうだ」と思った記憶がある。この著者の個人主義的なところが好きである。著者は「他人に自分の価値観を押しつけない社会、他人を縛らない社会、他人を調教しない社会、他人になるべく期待しない社会こそ、実現すべきではないだろうか」と言い、「人間関係の濃厚な社会を単純に望むことは危険だと思う。」と言う。全く同感である。そういう感覚を共有したうえで「差別感情」を著者と一緒に考えていったように思う。結論は、自分の欺瞞性を誤魔化すことなく見つめる「繊細な精神」が必要であるということである。全くその通りである。欺瞞に満ちた人間の欺瞞に満ちた社会に生きていくにはそうするしかない!
[PR]

by yksayyys | 2016-05-01 12:21 | 読書 | Comments(0)